介護現場で大きな課題の一つともいえる、「ケアマネージャー」と「医療スタッフ」とのコミュニケーション。
ケアマネージャーの中で、医療スタッフとのコミュニケーションをとることが苦手な方もいるはず。
利用者が退院してから在宅生活をスムーズに送るために、どのようにコミュニケーションすれば上手くいくのでしょうか。
本記事では、「理学療法士」と「ケアマネジャー」を兼務して、病院から在宅分野まで幅広い経験をお持ちの大世渡渉さんにお話を伺いました。
いま介護現場の人間関係でお悩みの方へ、大世渡さんが編み出しだ「スタッフ間の連携が上手くいくコミュニケーションのコツ」をご紹介します!
【ケアマネってどんな仕事か、改めて理解したい方はこちらから♪】
医療スタッフとのコミュニケーションは必須事項
入院期間が短縮され、「早期退院」「在宅復帰」が掲げられるようになり、より一層ケアマネージメントの業務は重要な役割を担うようになります。
さらに、ケアマネジャーの診療報酬の中には「退院退所加算」というものがあります。
退院退所加算とは利用者が病院や介護施設を退所する際に、医療スタッフと面談し、退院後に利用するサービス等の調整を行うことで、その手間分の加算がつく仕組みです。
業務内でのコミュニケーションが3回以上になる場合には、担当医師との退院前カンファレンスが必須となります。そのため再入院が多い方のケアマネージメントを担当する場合、必ず医療スタッフとのコミュニケーションが必要になるのです。
ケアマネが医療スタッフとコミュニケーションを取るのが苦手な理由
ケアマネジャーはコミュニケーションを取ることに対してなぜ苦手意識を持ちやすいのでしょうか。
一般的にケアマネジャーの方は介護職の出身者が多いため、特に新米のケアマネジャーの場合には医療分野の知識が不足している傾向があると言われています。また、病院や診療所などは多忙であるため医師や医療スタッフとのスケジュール調整が難しく、どうしても気後れしてしまうといった意見を耳にします。
この「医療知識の不足」と「時間調整の難しさ」の2つがより医療スタッフとのコミュニケーションを難しいと感じてしまう原因といえるでしょう。
コミュニケーション方法のコツ
では、実際どのようにコミュニケーションをとることで、苦手意識を解消できるのでしょうか?
まず下記の「3点」を試すことで、医療スタッフとのコミュニケーションに関して苦手や不安が緩和できるはずです
診断名に沿って注意事項を確認
とにかく苦手意識が強い場合などは、まずは入院の原因となった診断名について話を広げていきましょう。
在宅生活での注意点や日常生活動作のポイントなど診断名から話を広げるだけで各医療職から広く意見が聞けるはずです。
専門職の強みを活かした助言を得る
まず“職種による役割”を把握しておくことが大事です。
例えば、内服管理や病状の変化による受診の目安など医療に関わる部分は、看護師から関係者(ヘルパーや家族など)に周知してもらうなど。関係する全員の役割を意識しながらコミュニケーションをとると、スムーズに意見交換をすることが可能です。
また、ケアマネ―ジャーは常に現場にいるわけではないため、在宅で関わることになる他事業所から予め質問事項を収集しておき、医療スタッフに答えてもらえるよう掛橋の役割も意識するとよいでしょう。
カンファレンスの前に確認事項を送付しておく
病院では緊急対応などスケジュール調整がつきにくいのも事実で、日程調整に頭を悩まされることがあるのではないでしょうか。病院で開催される会議では、医療職のスケジュールが優先される傾向もあるでしょう。
限られた時間で苦手意識を解消するためには、前もって会議で確認しておきたい事項を知らせておくことが有効です。その際に、入院前の課題や問題点などを併せて伝えておくとより広い視点からの解決策を見つけることができるかもしれません。
地域相談室や病棟看護師に事前に確認事項を記載した書類を提出しておけば、カンファレンスの進行も円滑に行えるのです。
より苦手を解消するには医療介護連携研修会を活用
最近では、多くの地域で医療と介護の連携研修会などが開催されています。
在宅医療に関しては医師や看護師による勉強会も多く、そのような研修会に参加している医療スタッフは、その地域における在宅介護での中心的役割を担っていたり、他職種とのコミュニケーションに力を入れていたりする場合が多いのです。
自身も研修会に参加し「顔の見える関係」を構築しておくことで、日々の業務で困った場合でもコミュニケーションが取りやすくなります。他職種と円滑に仕事を進める上でおすすめの方法のひとつです。
まとめ
医療職とのコミュニケーションが苦手なケアマネジャーは少なくありません。しかし、病院での入院日数を短縮し在宅で過ごすという現在の流れは、今後よりケアマネジャーと医療職でのコミュニケーションが求められているとも言えるでしょう。
医療の知識で分からないことがあれば、専門職を頼ることが大事です。ですので、少しずつでも苦手意識を解消できるように上記でお伝えしたコミュニケーションのコツを意識してみてください。
(Posted by 大世渡渉)