高齢者の明日への活力に!美味しいと感じる食事支援のポイント

高齢者の明日への活力に!美味しいと感じる食事支援のポイント

こんにちは。社会福祉士・ケアマネージャーの吉田です。

高齢になると食事の時間を唯一の楽しみとされている方も多いですが、介護度が高くなるにつれ食事さえも事故のリスクや心身に影響を及ぼす原因となってしまいます。

逆に言えば、高齢者にとって安全で「美味しい」と感じる食事介助を身につければ、食事の時間を彩りあるものに変えることができるはずです。

今回は、介護職が知っておきたい高齢者の食事支援のポイントについてご説明させていただきます。

しっかり食事がとれないことで起こる2大リスク

ひび割れる地面

高齢者が加齢や疾患、障害などで十分な食事を摂取できない場合、以下のようなリスクを引き起こしてしまいます。

低栄養

低栄養は、加齢に伴う身体機能の低下や精神的な要因が重なり、食事の摂取量が減少すること・偏った食事になることが原因で生じます。高齢になると、体力が衰え活動量が減ることで食欲が低下し、身体に必要な栄養を十分に摂取することができません。

低栄養は咀嚼(噛む力)・嚥下(飲み込む力)など口腔機能の低下や味覚の低下によっても起こり、体重の減少や筋力の低下、活気の減少、褥瘡の悪化のリスクを高めます。

誤嚥

高齢者の食事支援で最も配慮しなければいけない“誤嚥”。
誤嚥とは意識せずに唾液や口の中に残った食べ物が咽頭や気管に入りこんでしまうことで、窒息や、細菌感染から誤嚥性肺炎を発症するリスクがあります。食事中咳き込みやムセがあったら要注意です。

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美味しく安全な食事は準備から

優しく手を取る

安全に配慮した食事支援を行うには食事の前に十分な準備を行いましょう。
例えば、食事前の準備運動として口周りの筋肉を動かすことで、唾液の分泌が活発になり嚥下しやすくなります。誤嚥予防に効果的です。

また、高齢者は生活のメリハリがない方が多いですが食事前に運動することを日課にすれば食事への意識づけにもつながります。
食事前の準備運動を2つご紹介しますので、実際にやってみましょう。

唾液を増やして健康に「唾液腺マッサージ」

食事前に気軽に行える唾液腺マッサージは、耳の横、頬、顎を優しい力でくるくるマッサージしていきます。高齢者のドライマウスに効果的とされ、唾液の分泌とともにリラックス効果も期待できます。

嚥下体操

嚥下・咀嚼機能の衰えを改善させるお口の体操のことで、食事の前に発声することで口や首の筋肉を強化させ、嚥下・咀嚼しやすくさせます。
嚥下機能回復に効果的な体操として“パタカラ体操”が有名です。

パタカラ体操は、食事の前に「パタカラ」と声に出すだけなので時間をかけず気軽に行うことができ、介護施設やデイサービスで導入しているところも多いです。

一度、ゆっくりと「パーターカーラー」と発音してみてください!
一音発声するごとに唇や喉、口周りの筋肉が使われていることが分かりますね。
次に “パパパ、タタタ、カカカ、ラララ”と、はっきりと大きな声で発音し、慣れたら早口で発音してみましょう。毎日続けることで効果が出てくるでしょう。

食事支援3つのポイント

安全を考える

高齢者の食事支援では、誤嚥に注意し安全性を重視して介助することが基本となります。
介護職の方へぜひ知っていただきたい、食事支援に大切な3つのポイントをご紹介します。

食べるときの姿勢も安全な食事に影響する!

日中ベッドで過ごすことが多い方も、できるだけベッドから離床し椅子に座って食事するようにしましょう。椅子に座ることで少し前傾になり、食べるための噛む力の向上や誤嚥の予防につながります。
ベッドで食事介助を行う場合、利用者が上半身を直角に起こせる方であればリクライニングの角度は約60度、寝たきりの方であればリクライニングの角度を約30度に起こします。
また枕やクッションなどを頭の後ろにセットし、顎を引いた状態にすることで誤嚥予防できます。

リラックスして美味しく食べられる食事時間を提供しよう

食事の形態にはミキサー食・刻み食・一口大食など様々ありますが、状態に合わせた食事や飲み物の形態を確認し、安全に配慮して介助します。
使いやすい食器や配置の工夫などにも気を配り、介助者は楽しく食事ができるよう声かけを忘れてはいけません。
「今日は鯖の塩焼きですよ」と献立を説明し、「ゆっくり噛んでくださいね」といった優しい声かけによってリラックスして食事をとることができ、食事への意欲もわくでしょう。

介助者は同じ目線で高齢者のペースに合わせて介助し、食事が偏らないようバランスよく食事を提供します。提供する一口の量にも注意し、嚥下できたかどうかを確認して次の食事を運ぶよう注意する必要があります。

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摂取量は必ず確認しよう

食事介助が終わったら健康状態の把握のため、主食・副食・水分の摂取量を確認して下膳します。普段よりも特に食事量が少ない、主食のみ摂取しているなどは体調不良のサインかもしれないことを覚えておいてください。

【まとめ】五感を刺激する食事支援が生きがいにつながる

手の中のお花

高齢になると嚥下状態に配慮してミキサー食や刻み食が多くなりがちです。ミキサー食や刻み食は食べやすく安全というメリットがありますが、食事の形状が崩れてしまうことにより「何を食べているか分からない」ことがデメリットです。献立や食材を理解しないまま食べるのでは、同じ味付けでも美味しさは半減してしまいます。

食事の目的は“栄養を摂る”だけではありません。
食事の前に献立を紹介し、食材について話す、旬の食材を使って調理する、魅力的な食器を使用する。様々な工夫により季節感を伝えたり五感に訴えたりすることで生きる喜びを感じられることが食事支援のポイントです。
毎日の食事が美味しい・楽しいと感じれば明日への生きがいにつながるでしょう。

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※掲載情報につきましては、 2019年12月19日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。