介護保険法から学ぶ「介護の目的」とは?詳しく解説!

介護保険法から学ぶ「介護の目的」とは?詳しく解説!

介護保険法の画像

介護の目的を考える際に無視することができないのが介護保険制度です。

介護保険は、2000年にスタートした日本の中でも新しい社会保障制度です。「介護」という存在自体は古くからありました。しかし、「介護」という言葉や存在が広まったのは介護保険制度がはじまってからと言っても良いでしょう。この介護保険制度の根幹をなすものが介護保険法です。この法律で、介護をどのように考えているのかを見てみましょう。

「介護」とは何か

介護とはのイメージ

介護保険法を見る前に、まず「介護」とは何かを少し考えてみたいと思います。

「介護」という言葉が辞書に登場したのも比較的新しく、1980年代になってからだと言われています。当時から高齢者などの福祉に関わる専門的な用語として使われていました。

今で言う「介護」は、その当時、一般的には家庭内の家事の延長として、介助、介抱、看病などと考えられていました。この後、1980年代後半には「介護福祉士」という国家資格が生まれ、1990年代には介護保険法の成立過程によって徐々に一般にも広まって認知されていきます。

今でも辞書には、病人などの介抱や看護というような説明になっていますが、介護保険法ではより意味や対象を限定しています。

介護保険法に示されている介護の目的とは

介護保険の目的のイメージ

介護保険法の第1条では、この法律の目的が説明されています。

介護保険法(平成9年法律第123号)第一条

「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。」

要約すると、「介護を必要とする人」が、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようになること」がまず挙げられています。さらに、大きな目的として「国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ること」が挙げられています。また、そのために必要な制度を設け、給付を行うための制度が介護保険法であるとされています。

このように、介護保険法による介護の目的とは大きく二つに分けて、介護が必要となった人の個人の生活のためであるということと、介護が必要性が増してきた社会のためであると考えて良いのではないでしょうか。また、第2条以降、この目的を達成するための具体的な方法や、国民、国、地方自治体の役割などが示されています。

介護は自立した日常生活のために必要なもの

介護と自立のイメージ

ここで特に大切なのは、介護を受ける個人に焦点を当ててみると、介護保険法は「介護を必要とする人が能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」ためにあるということです。

介護されるというと「世話をされる」「依存しなければならない」というようなイメージを抱かれるかもしれませんが、目的はあくまで自立するということなのです。また、そのためには介護を受ける人の尊厳が保持されなくてはなりません。これは、介護を受ける本人の意志が大切なのだということです。介護はその本人の望む生活を支えるために、本人の選択により行われるものなのです。

これは介護保険制度以前にあった、高齢者福祉制度(老人福祉法)による介護との大きな違いです。当時は、介護が必要な人に自治体が必要なサービスを措置で決定するという方法でした。本人の希望や選択ではなく、社会的に介護が必要だから、行政がその必要性や内容を決定していたのです。

さらに第2条では、「可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」とされています。つまり、施設などに入所するのではなく、それまで通りに自宅で生活していくのが基本だということです。

介護保険法においての「介護が必要な人」とは

介護保険法が必要な人

ただし、すべての人が介護保険の対象となるわけではありません。介護保険により、主なサービスや給付を受けることができる人は、「要介護者等」とされていて限定的です。年齢要件などで決まる介護保険の被保険者であることはもちろん、「要介護(要支援)認定」を受けている人が対象となっています。

本当に介護が必要な状態であるのかは、一定の基準によりその必要性が判断されるのです。これは社会保険方式を取っている制度であることから、公平性を担保しなければならないからです。また、介護保険を利用した結果、介護が必要ではない状態になることができたという場合には、自立することができたとも言え、その目的が達成されたと考えても良いのかもしれません。

【介護認定はこうやって決まっているんです。気になるアレコレ教えます】

【介護認定基準】介護度が決まる基準とは?

介護の目的を簡単にまとめると

介護保険法では、介護が必要となった状態であっても、「その人らしく」生活を維持していくために介護が行われるのだと考えると良いのではないでしょうか。言葉にしてみると一見当たり前のような気もしますが、このシンプルなことを実現することがとても難しいものだということは介護に携わったことのある方なら解るはずです。

サービスの提供や、保険給付などは、あくまでこれらの目的を達成するための手段でしかありません。介護に携わる仕事をしている人たちは、迷った時にはこの介護保険法の理念に立ち戻ってみてはいかがでしょうか。

(Posted by ysk6)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
※掲載情報につきましては、 2019年11月26日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。