高齢者が食事を飲み込めない理由【安全に食事をする方法】

高齢者が食事を飲み込めない理由【安全に食事をする方法】

高齢者食事介助には、不安がつきものです。

特に、食事中にむせる機会が増え食べ物をしっかりと飲み込めないと、ご家族としては心配になりますよね。

最近では、食べ物が誤って気管に入る誤嚥がテレビで注意喚起されていますし、高齢者の食事は安全を考えながら介助することが重要です。

私は、リハビリの専門職として、病院や介護施設で高齢者の食事支援を数多くおこなってきました。高齢者が食べ物を飲みやすくなるには、食事の環境や日常生活の過ごし方に工夫が必要です。

どのようにすると食べ物が飲み込みやすくなるのか?

ここでは、ご家族が家庭でおこなえる食事の環境や日常生活の過ごし方の工夫について紹介します。

高齢者は、食べ物を飲み込みづらくなる

ご飯つまってるイラスト

そもそも、どうして高齢者は食事を飲み込みにくいのかと言うと、加齢により次のようなからだの変化が起きているからです。

食べ物を飲み込む力が弱い

口の中にある食べ物を飲み込むには、筋肉を使って食べ物をのどの奥に位置する食道に送らなければなりません。

ところが、高齢者は食べ物を口の中から食道まで送る筋肉の力が弱いので、食事をうまく飲み込めないことがあるのです。

食べ物を飲み込むタイミングがとりづらい

また、食べ物をのどから食道に送るには飲み込むタイミングも重要です。

若い人では、食べ物を飲み込む時に「ごっくん」と適切なタイミングをとることができますが、高齢者のなかには飲み込むタイミングが遅くなる方も多いです。

食べ物を飲み込むタイミングが遅くなると、食べ物を口の中から食道に送り出す力が弱くなるので、食事が飲み込めない状態に陥ります。

体力が少ない

さらに、全身的な体力の低下も食事が飲み込めない原因のひとつです。

体力が低下すると食事中に座っている姿勢を保持しづらくなったり、のどに物が詰まった時のむせ込む力が弱くなったりするので、食事がしづらくなります。

このように、食事が飲み込めないと一口に言っても、その原因はさまざまです。

いずれにしても、食事が飲み込めない問題を解決するには食べ物を飲み込みやすくする工夫が必要です。

食べ物を飲み込みやすくする方法

お皿

では、食べ物を飲み込みやすくするにはどのような工夫をすると良いのでしょうか?ここでは、ご家庭で、ご家族ができる方法を紹介します

食材を小さく、やわらかく調理する

ご家族が調理をする時には、料理の具材を小さめに切ったりやわらかく煮込んだりします。

食べ物は大きい物より小さい物、硬い物よりやわらかい物のほうが飲み込みやすくなります

高齢者は食べ物を噛む力も弱くなっている方も多いので、あらかじめ食材を小さく、やわらかめに調理することでからだの負担が少なく食事をすることができます

とろみをつける

水分はさらさらしているので飲み込むタイミングが難しく、高齢者にとって固形物よりも飲み込みづらいです。

お茶やみそ汁などを飲み込む時にむせる場合は、水分にとろみをつけると飲み込みやすくなります

最近では、ドラッグストアなどでも無味無臭のとろみ剤を購入することができるので、ご本人の抵抗感が少なくとろみ剤を使用しやすくなりました。

水分に薄いとろみをつけるだけでも飲み込みやすくなるので、むせが気になる方は、一度市販のとろみ剤を試してみてはいかがでしょしょうか?

いすに座って食べる

また、食べ物を飲み込みやすくするには食事をする姿勢も大切です。

ソファやベッドなどのようにやわらかい面に座って食事をすると、からだが丸まった姿勢になるので食べ物が飲み込みづらくなります。

逆にダイニングテーブルで使う家具のように、座面が硬いいすは、座った時に背筋を伸ばしやすくなるので食べ物も飲みこみやすいです。

このように、食事の内容や環境を少し工夫するだけでも食べ物を飲み込みやすくなります。

食べ物を飲み込みやすくなると、食事からしっかりと栄養が摂取できるようになるので、ぜひご自宅での食事の仕方を工夫してみましょう。

 

【食事介助時のコツやポイント】もあわせて知りたい!そんな方にはこちら!

食事介助時の姿勢や食品の形状、注意点について解説

しっかりと飲み込めるようになるは、体操や運動も大切

体操している高齢者

一方で、食事の内容や環境を工夫しても、加齢によって弱まった筋肉の力が戻るわけではありません。

からだの筋肉は、トレーニングをしないと日に日に弱まっていくので、飲み込む力を維持するためには体操や運動が重要です。

口や肩まわりの体操

食事をする前には、口や肩まわりの筋肉をほぐす体操をおこなうようにしましょう。

口や肩まわりの筋肉がほぐれると、食べ物を力強く飲み込んだり、のどから食道に送り込みやすくなったりします。

口や肩まわりの体操は、具体的には次の手順でおこないます。

  1. 深呼吸をする
  2. 首や肩を前後左右に動かしたり、円を描くようにまわしたりする
  3. 舌を左右に動かしたり、出したり引っ込めたりする
  4. パパパ、ラララ、カカカと発声する
以上の体操をすると口や肩まわりの筋肉がリラックスし、食べ物が飲み込みやすくなるので、できるだけ毎日の食事前におこなってみましょう。

全身の運動

からだを大きく動かす運動も、食べ物を飲み込みやすくするには大切です。

なぜなら、体力があるほど食べ物を力強く飲み込めますし、からだの筋肉の力が強いほど背筋を伸ばした姿勢がとりやすくなるからです。

高齢者が気軽におこないやすい全身の運動は散歩です。

散歩は足腰の筋肉を使いますし、歩いている間は心臓や肺もたくさん使うので体力もつけやすいです。

屋外を散歩することが難しい場合には、室内を歩いたり、手すりを伝って歩いたりするだけでも筋肉や体力をつけることができるので、無理のない範囲で歩く習慣を身につけていきましょう。

 

レクリエーション時に運動を取り入れたい!そんな方にはこちらの記事がおすすめです。

高齢者が行うボールを使用したレクリエーションの効果

(Posted by 田口 昇平)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
※掲載情報につきましては、 2020年04月05日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。