24時間の介護を必要とする要介護度が高めな利用者の入所施設では、働く介護職員も24時間働く形になります。
そのため、夜勤を含めた変則勤務で利用者の生活を支えています。
夜勤は昼間と異なり、少ない人数での勤務となります。
本記事では、介護における夜勤の内容や実態について解説していきます。
介護施設における夜勤
夜勤とは、夜間に勤務することです。
労働基準法では、夜勤の時間に定めはありません。ただし22:00~翌朝5:00まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合において、その定める地域又は機関については23:00~翌朝6:00まで)を「深夜の時間帯」と定めています。
介護施設の場合、16:30~翌朝10:30など夕方から翌朝にかけての勤務が多いです。実際の勤務時間は16時間のため、約2時間は食事休憩や仮眠時間となります。
あくまで夜勤の勤務時間は、利用者の生活リズムに合わせて介護施設で決めているものです。
夜勤の仕事内容
業務負担の大きい入浴は日勤帯で介助が行われるため、夜勤では主に就寝前後の介助、夜間の排泄介助、起床時のケアが中心となります。
食事介助に関しては、早番や遅番職員がいるため、夜勤者のみで業務にあたるわけではなく、その負担は少ないです。
施設によって夜間勤務は2交代と3交代にわかれています。2交代の場合の夜間業務は16時間勤務、3交代の場合は日勤業務と同様に8時間勤務になります。
そのため、業務として2交代であれば食事介助が加わります。3交代は夜間の見守りが主な業務になります。
時間ごとの仕事の流れ
2交代夜勤と3交代夜勤のそれぞれを時系列に見ていきましょう。
【参考例】
時間 | 2交代夜勤 | 3交代夜勤 |
16:30 | 出勤 ・日勤者からの引継ぎを受ける |
|
17:00 | 食事休憩(30分) | |
17:30 | 夕食準備 ・夜間帯に必要な物品の補充 ・離床、排泄介助、食事場所への誘導、手洗いや手指消毒など夕食を食べる準備を行う |
|
18:00 | 夕食 ・配膳、食事介助を行う |
|
18:30~ | 口腔ケア ・食事が終わった利用者より順次行う。 ・自分でできる利用者は声をかける 排泄介助(希望者のみ) ・トイレ誘導中心に行う |
|
19:00~ | 就寝介助 ・利用者に合わせて着替えや排泄介助を行う |
|
21:00 | 消灯 | |
22:00 | 記録や物品補充など | 出勤 ・遅番職員より引継ぎ受ける |
23:00 | 巡視 ・利用者の状況に応じて排泄介助を行う |
|
0:00~0:15 | 巡視 ・異常がないことを確認する |
記録や物品補充など |
0:15~1:45 | 仮眠(1時間半) | |
1:00~1:15 | 巡視 ・異常がないことを確認する |
|
1:15~2:15 | 仮眠(1時間) | |
2:00又は2:15 | 巡視 ・利用者の状況に応じて排泄介助を行う |
|
4:00 | 巡視 ・一斉に排泄介助を行う |
|
5:00 | 検温などバイタル測定 | |
6:00 | 離床介助 ・利用者の状況に応じて行う ・記録の確認を行う |
|
7:00 | 引き続き離床介助 ・早番職員へ夜間帯の引継ぎを行う ・朝食準備 ・記録や物品補充を行う ・夜間帯の片づけ(シーツ、ポータブルトイレなど)を行う |
早番職員へ引継ぎ、退勤 |
8:00 | 朝食介助 ・配膳、食事介助を行う |
|
8:30~9:00 | 口腔ケア、食事下膳 | |
9:00 | 個人記録の他、夜勤日誌に不備がないか確認する | |
9:30~10:00 | ミーティングへ参加 ・夜間の様子を報告する |
|
10:00 | 退勤 |
夜勤手当は施設によって異なる
求人票で夜勤手当1回○○円と目にすることがありますが、労働基準法では特に夜勤手当の定めはありません。
一方、法律で定められている「深夜の時間帯」に働いた場合、通常労働時間賃金計算額の25%以上の割増賃金を支払わなければならないとされています。
そのため、夜勤手当は施設によって異なり、以下の3つのパターンがあります。
割増賃金のみの支給する
労働基準法で定められた「深夜帯の時間」に対して25%の割増分を支給する方法です。
時給1000円の場合、1時間の割増賃金は250円です。夜勤に従事したうち、22:00~翌朝5:00までの7時間分に対して割増賃金が支払われます。250円×7時間となり、夜勤手当は、1回あたり1,750円になります。
職員の時給は所有資格、経験年数や役職などによって異なるため、同じ夜勤を行っても支払われる額に差が生じます。
独自の夜勤手当と割増賃金を支給する
施設独自で夜勤手当を決めて、割増賃金に追加して支給する方法です。
例えば、施設独自で夜勤手当を3000円と定めると、夜勤をすると割増賃金の他に1回3,000円の手当がつく形になります。
この場合、割増賃金は職員によって差が生じますが、夜勤手当分は一律です。
割増賃金を含め夜勤手当を支給する
労働基準法で定められた「深夜帯の時間」に対して25%の割増分を含めた夜勤手当を支給する方法です。
割増賃金は時給1000円で計算すると、深夜帯の手当は1750円のため、その金額に施設で決めた手当を上乗せする形になります。
例えば、夜勤手当を1回4000円にした場合、割増賃金より高い金額のため、割増賃金がなくても問題はなく、職員によって夜勤手当に差は生じることもありません。
夜勤専従という働き方
施設によって夜勤手当の考え方が異なりますが、深夜帯の時間は必ず25%の割増賃金が発生するため、夜勤専従として働いている人もいます。
夜勤専従の良い点は、昼間の時間が自由に使えることです。学校に通う、介護の必要な家族がいる場合など仕事との両立が可能になります。
一方で夜勤のみの仕事の場合、身体を休める時間に働くため、生活リズムが崩れやすくなります。体調管理には注意が必要です。
夜勤の実態
2018年日本医療労働組合連合会(医労連)の「介護施設夜勤実態調査」によると、介護施設の88.7%が2交代制夜勤を実施していると報告されています。
少ない夜勤者で何が起こるかわからないと不安に思う介護職員も多いですが、落ち着いて普段の対応をすれば問題はありません。
また、夜勤は従事した回数分の手当がつきます。
働き方は人それぞれ異なります。自分の生活を振り返り、自分に合った働き方を見つけてください。
(Posted by momota)
「介護の夜勤」について、こちらの記事も人気です!