こんにちは。社会福祉士・介護福祉士の笑和です。
福祉分野には、3つの国家資格があります。社会福祉士、精神保健福祉士、そして介護福祉士です。
この記事では、これから介護福祉士を目指す場合、どのようなルートで資格を取得することができるのか、試験の難易度は?等、介護福祉士国家試験の概要を説明します。
介護福祉士とは
介護福祉士は名称独占の国家資格です。高齢者や障がい者等、自立した生活を送ることが困難な人に対し、専門知識及び技術をもって日常生活上の世話・介護を提供する役割です。
介護福祉士になるためには、介護福祉士国家試験を受験し、合格しなければなりません。
受験資格
介護福祉士国家試験を受験するためには、まず受験資格を得る必要があります。逆を言えば、受験資格の無い人は国家試験を受験することができません。
では、どのようにしてこの受験資格を得ることができるのでしょうか。代表的な2つのルートを紹介します。
介護福祉士養成校ルート
1つ目は、介護福祉士養成施設(専門学校や短期大学等)で教育を受け、受験資格を得る方法です。
介護福祉士の養成校へ通学し、規定カリキュラムで専門知識や技術を学び、卒業すれば介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。
実務経験ルート
受験資格を得る2つ目は、3年以上介護等の業務に従事した人が、実務者研修を修了したうえで、受験資格を得る方法です。
この実務者研修を修了した後、介護の実務経験を証明する書類を、定められた方法で社会福祉振興・試験センターに提出することで、国家試験を受験することができます。
試験の概要
実施時期
介護福祉士国家試験は年1回、例年1月末の日曜日に全国各地で実施されます。
試験内容
試験内容は筆記試験と、実技試験があります。詳細は次のとおりです。
筆記試験
次の11科目群から出題されます。例年、五肢択一の問題です。
- 人間の尊厳と自立、介護の基本
- 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
- 社会の理解
- 生活支援技術
- 介護過程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
実技試験
受験者の大半は実技試験が免除されますが、一部次のようなルートの方は実務試験を受けます。
- 福祉系高校卒業ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
筆記試験の例題
では、どのような問題が出題されるのか、例題を通して確認しておきましょう。
例題1
社会福祉士及び介護福祉士法における介護福祉士の義務として、誤っているものを 1 つ選びなさい。
- 信用失墜行為の禁止
- 要介護者の医学的管理
- 福祉サービス関係者等との連携
- 資質向上の責務
- 秘密保持
例題2
介護老人福祉施設の感染対策に関する次の記述のうち、適切なものを 1 つ選びなさい。
- 職員のうち感染委員さえ注意していれば感染症は拡大しない
- おむつ交換は、使い捨て手袋を着用して行うことが基本である。
- 洗面所のタオルは共用にする。
- 入所者の吐瀉物を布巾で拭き、それを共用スペースに放置した。
- 感染拡大と施設内の清掃は関係が無いので、適当に済ませる
いかがでしたか? 正解は例題1、2ともに「2」です。
国家試験の合格には、介護に関する総合的理解を進めるとともに、合格に向けたテクニックがあります。これらを身に付けて、チャレンジしてみて下さい。
合格基準
社会福祉振興・試験センターのホームページ*1によると、介護福祉士国家試験には次の合格基準が定められています。以下、引用します。
次の2つの条件を満たした者を筆記試験の合格者とする。
イ アを満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者。
[1] 人間の尊厳と自立、介護の基本
[2] 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
[3] 社会の理解
[4] 生活支援技術
[5] 介護過程
[6] 発達と老化の理解
[7] 認知症の理解
[8] 障害の理解
[9] こころとからだのしくみ
[10] 医療的ケア
[11] 総合問題
(注意)配点は、1問1点の125点満点である。
総得点の60%以上であるうえ、全ての科目群での得点を必要とします。
やはり、専門職として総合的な理解の有無を問われます。
合格発表
試験の合格発表は毎年、3月の下旬頃にホームページ等を使って発表されます。
合格者には社会福祉振興・試験センターから、介護福祉士の登録手続きに関する書類が届きます。
登録手続きが完了してから、改めて介護福祉士国家資格登録証が自宅に届くような段取りです。
この書類が、介護福祉士国家資格の保有を証明する公的な書類です。登録をしなければ、介護福祉士になることはできません。
難易度・合格率
合格率はここ3年で約60%~70%です。以前は、合格率が50%を下回っていた時代がありました。現在では、以前に比べると合格率はUPしているといえます。
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合格を目指すには
合格を目指すには、介護に関する総合的知識が必要です。とは言っても、自己学習でも充分に手の届く国家資格なので、現場での経験と、テキストから得られる知識をもとに試験合格を目指しましょう。
参考文献
*1 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター