普段生活をしていると「車いすに乗った人が、段差を超えられなくて困っている」「視覚障害のある人が、電車の切符の買い方が分からなくて困っている」など、高齢者や障害のある人が困っている場面に居合わせる可能性はゼロではありません。何か手助けをしたいと思っても、どう声をかければ良いのか、そしてどのようにサポートすれば良いのか分からない人もいるのではないでしょうか。
サービス介助士は高齢者や障害者が、さまざまな場面で安心できるようにサポートをするための資格です。今回はサービス介助士の内容と資格取得が役立つ場面、介護福祉士や初任者研修との違い、資格取得がおすすめの人、そして資格の取得方法について紹介します。
サービス介助士とは?資格の概要
サービス介助士は、公益財団法人日本ケアフィット共育機構が認定している民間資格です。高齢者や障害がある人に対して、ホスピタリティ(おもてなしの心)と適切な介助技術を持って接し、安心した生活をサポートするために作られました。
カリキュラムを通して車いすの操作方法や身体の移乗、視覚障害者や聴覚障害者への介助法などを学習します。
具体的な介助技術のみでなく、心にも寄りそったおもてなしを学んでいることが特徴です。
サービス介助士の資格が役立つ場面
サービス介助士の資格は、さまざまな場面で役に立ちます。
電車の駅で切符の買い方が分からない視覚障害者に案内をする、車いすに乗った高齢者が電車に乗る際に適切に介助をする、麻痺で身体を上手に動かすことができない人が洋服の試着をする際にスムーズに介助をするなど、資格を生かせるシーンは日常生活の中にあふれています。
介助の方法や声のかけ方を理解することで、支援が必要な人を見かけても慌てずに対応できるようになるでしょう。
介護福祉士や初任者研修との違い
介護関係資格の代表格といえば、介護福祉士や初任者研修です。サービス介助士とはどのような点で違うのでしょうか。
まずは活躍する場面が違います。介護福祉士や初任者研修は、介護施設や訪問介護として在宅で直接利用者の介護や介助を行うための資格です。対してサービス介助士は公共交通機関やレストラン、ホテル、デパートなどでホスピタリティある介助をするための資格となっています。
また資格の目的も異なります。介護福祉士や初任者研修は、介護をするための資格です。主たる業務が介護で、資格の目的が直接的な仕事なのですね。一方のサービス介助士の目的は、おもてなしの心を持った介助。公共交通機関やお店を利用する人が、それぞれの目的をスムーズに達成できるようにサポートをする資格です。本来の業務に付随したサービスのための資格ということですね。
「初任者研修とは?」気になる方はこちらをご覧ください!
サービス介助士の取得がおすすめの人
続いては、サービス介助士の資格取得がおすすめの人について見ていきましょう。
公共交通機関や店舗などで働いている人
鉄道会社やバス会社などの公共交通機関で働いている人や、レストランやホテルなどの店舗で働いている人におすすめです。
介助が必要な高齢者や障害者と接する機会が多く、資格取得を通して一人ひとりの状況に合わせた応対ができるようになるでしょう。
年齢や障害に関わらず、ホスピタリティのある対応を学びたい人
どんなに年齢を重ねていても、また例え障害があったとしても、ホスピタリティにあふれる対応をしたいと思っている人にもおすすめです。
ホスピタリティはどのような人とも、円滑なコミュニケーションを取るために必要な考え方。サービス介助士の資格取得を通じて、ビジネスやサービス業などで質の高いおもてなしを提供できるようになるでしょう。
サービス介助士の取得方法
最後にサービス介助士の取得方法を紹介します。
テキスト学習と課題の提出
まずはテキストを使い、9つの科目について自宅学習をします。テキスト学習が終了したら、課題を提出しなければいけません。
課題はマークシート方式で、全100問。60点以上で合格です。
実技教習
提出した課題が合格となれば、次は実技教習です。指定の会場へ2日間通って、車いす操作などの実技を学びます。
実技教習2日目には、マークシート方式の検定試験を受けなければいけません。全50問で70点以上取得すれば、無事に資格取得となります。
資格取得までの期間
講座に申し込みをしてから、12ヶ月以内に検定試験を終わらせる必要があります。仕事をしながらでも平均2ヶ月ほどで資格取得をしているので、期間内に資格取得をすることは難しくはないでしょう。
まとめ
サービス介助士とは高齢者や障害者などにホスピタリティの心を持ちながら、適切な介助をする資格を指します。公共交通機関や店舗などのサービス業で、高齢者や障害者に接する機会が多い人に人気のある資格です。
ただし介護の仕事をするための資格ではありません。高齢者施設や訪問介護などで介護職として働きたい人は、介護福祉士や初任者研修などの資格を取得するようにしましょう。